参考になる風景①

先般、所用で長崎県大村市にある海上自衛隊大村航空基地を訪問する機会がありました。大村航空基地は、長崎空港発足以前の旧大村空港にあり、現在は海上自衛隊のヘリコプター部隊、第22航空群が長崎空港のA滑走路を使用して海上防衛の任務に就いています。第22航空群は護衛艦に搭載されるヘリコプターの母基地で、艦載ヘリコプター部隊と救難ヘリコプター部隊から編制されています。
長崎空港は、1975年5月1日開港した国土交通省が管理する第2種空港で、正確には長崎空港B滑走路とそれに付随する施設のことを言い、長崎湾のほぼ中程、海岸から沖合2kmに浮かぶ箕島(みしま)全体を占め、世界初の海上空港です。長崎空港は、フランスの超音速旅客機、コンコルドが飛来した日本の数少ない空港の一つで、第2種空港では唯一の飛来歴を持つ空港です。
昨今の自衛隊は、海外での任務も増え、海上自衛隊は海賊対処のため、ソマリア沖アデン湾に部隊を派遣しています。第22航空群からも護衛艦に搭載するヘリコプターと隊員が派遣されています。派遣されている隊員達は国際貢献の一翼を担う任務に誇りを持って任務に邁進していますが、実際の任務は緊張の連続で厳しさは想像以上のようです。

今回の参考になる風景は、昼食の時に立ち寄った海上自衛隊大村航空基地厚生センター内のトイレで遭遇したものです。
「一生懸命だと知恵が出る  中途半端だと愚痴がでる  いい加減だと言訳がでる」(上写真)
 これを見て、一瞬、用足し中にもかかわらず不謹慎にも、「五省(ごせい)」が頭をよぎりました。

五省は、昭和7年、第34代海軍兵学校長松下元(はじめ)少将の発案で、海軍兵学校において 夜間、「自習止め5分前」のラッパとともに生徒は姿勢を正して瞑目し、心の中でその問いに答えながらその日一日の自分の行動を自省自戒していました。
  一 至誠(しせい)に悖(もと)るなかりしか
    (真心に反することはなかったか?)
  一 言行に恥ずるなかりしか
    (言葉と行いに恥ずかしいところはなかったか?)
  一 気力に欠くるなかりしか
    (気力が欠けていなかったか?)
  一 努力に憾(うら)みなかりしか
    (努力不足ではなかったか?)
  一 無精に亘るなかりしか
    (無精になってはいなかったか?)

五省は、現在の海上自衛隊にも受け継がれています。海軍兵学校のあった、広島県江田島市に所在する海上自衛隊幹部候補生学校及び第1術科学校の学生たちは、海軍兵学校時代と同様、自習時間の終了5分前になると五省を唱和しその日の自分自身を顧みて日々の修養に励んでいます。

「知恵はでていますか? 愚痴はでていませんか? 言訳はでていませんか?」 
五省とともに自分自身に問いかけてみてください。

総選挙の時の街頭演説は、誹謗中傷、愚痴、言訳ばかり。今は、将来を見据えた、実現可能で建設的な施策が必要な時。「国民の目線・・・」や「国民の声・・・」など、本質から目を背け、耳障りの良い言葉に釣られて、国の将来を誤らないようにしたいものです。
政治には、国政、県政、市政などそれぞれのレベルがあります。国政は国会議員が国のため、国民のために司る政(まつりごと)、県政は県会議員が県・県民のために、市政は市・市民のために、が基本でしょう。それぞれのレベルに合致した基準で選ぶことが大切、おらが村の国会議員には疑問が残ります。
政治家たる人達には、常に自分自身を顧みて日々の修養に励みつつ、主義主張にこだわり過ぎて本質から目を背けることなく、無責任な井戸端会議レベルから脱却した大所高所からの責任ある議論をお願いしたいものです。(中村 徹)