国防軍の呼称

自民党の選挙公約に、憲法を改正し自衛隊を国防軍にすることが明記され、それに対する他党の意見がでている。民主党も公明党も右傾化を警戒して批判的な意見だが、選挙を前にして国民を刺激せず穏便に済ませたいという思いがあるのだろうか。

独立国が国防軍を持つのは当たり前の話で、それがおかしいと言う感覚がおかしいように思う。

中国が尖閣諸島を狙い、韓国が竹島を占拠し、ロシアが北方四島を占領し、北朝鮮がミサイルの射撃を準備している時に、政党の公約でこのような論争をしていることを、他の国が聞いたら笑いを通り越して不可解に思うだろう。

国際法や、国連憲章を見ても国を守るものは『ARMED FORCE』であり、直訳すれば「武装力」、普通の日本語では『軍・軍隊』と呼んでいる。

国を守る軍隊だから『国防軍』と呼称するのが当然であり、野田総理も公明党の山口代表も普通に話す時は『国防軍』という呼び方にあまり違和感を持っていないようなのに、国民に訴える選挙のなると慎重になる。

私はここに根本的な問題があるような気がする。一票を投じて欲しいと期待している票田の国民意識が、『国防軍』という呼び方は右傾化した危険な考えだと思う人が多いからだろう。

集団的自衛権の問題も同じである。国家としての権利はあるのだから、素直に行使すればよいのだが、そこに踏み込むことに抵抗感を持っている国民意識があり、政治家もなかなか踏み出そうとはしない。

以前のブログにも書いたのだが、次の政権を担う政党には、憲法を見直して国家戦略・国家運営の基本を定めてほしいと思っている。

国家・国益を考えて、不人気なことや耳障りの悪いことでも、あえて実行するのが政治家の信条ではないだろうか。

国民意識に迎合ばかりする政治家は要らない。正しいと思ったことを敢然とやり抜き、国民の意識をリードできる戦う政治家が必要である。(松島悠佐、2012.1129)