尖閣諸島問題と日米防衛協力のための指針

尖閣諸島の国有化表明から2ヶ月が経ち、相変わらず中国の海洋監視船が接続水域の航行を続け、時折日本領海に侵入を繰り返している。以前にも書いたが、これは中国の予定の行動だから、日本が音を上げるまで10年でも20年でも執拗に続けてくるだろう。

海上保安庁は、全国から巡視艇を集めやり繰り算段しながら警備の体制を強化している。大変な苦労と思うが、この状態はまだまだ続くだろう。

自衛隊もAWACS、E2C,P3Cによって遠方海域から近海域・海中までも監視している。米軍も空母機動隊群も含めて不測の事態に備えた態勢をとっている。

今は、不測の事態が起きる可能性は少ない。それは中国自身が手出しを出来ないことを知っているからである。日米安保があり、後ろに米軍がいるからである。中国は負けるとわかっている戦争はしない。

もし日米安保が機能せず、米軍のプレゼンスがなかったら、今頃は尖閣諸島に中国の五星紅旗が翻っているかもしれない。南シナ海のスプラトリーと同じである。

戦後60年にわたる日本の安全は日米安保が守ってきたのが事実である。

「平和・平和」と口で唱えて守ってきたわけではない。

とかく平和ボケなどと言われるわが国は、今回の尖閣諸島事態から、日米安保の価値、とりわけ米軍のプレゼンスの意義を再認識する事が大事だろう。

折りしも目下『日米防衛協力のための指針』(ガイドライン)を見直す動きがあり、長島防衛副大臣がアメリカに行っている。

現在のガイドラインは北朝鮮のミサイル騒動が起きた1997年に、日本周辺事態において「日米共同作戦計画」を正式に作成することを狙いにして定められた。

日米の目下の課題は、中国の軍事的圧力に対し、日米共同で如何に戦うのかを実体的に定めることだろう。

ガイドラインをしっかり定めて、それに基づく国内法を整備することが喫緊の課題である。国益を考えて、それが出来るような政府を早く作らなければならない。(松島悠佐)