新内閣への期待

今回の選挙は、出来もしないことをさも出来るように唱えていた、まやかしの政治はもうごめんだと言う国民の意識の表明だったと思う。
当然ながら、新内閣には実体的・実務的な政策を推進することに期待が集まるだろう。選挙の前11月にも「新内閣への期待」を書いたが、予想したように安部政権が出来たので、憲法を改正し、国家防衛の基本を正す改革を進めて欲しいと改めて期待する。
ただし、この半世紀の議論を見てくれば、正に色々な視点から、色々な意見があり、改革の道は平坦ではないことは明らかである。
だが、今度の選挙では、いわゆるチルドレンと称された議員がいなくなって、国家観を持った代議士が増えているので、是非基本的な改革に取り組んでもらいたいと思う。
安全保障の施策でまずやって欲しいことは、「日米共同防衛体制の深化」であり、とりわけ『日米防衛協力のための指針』(ガイドライン)の見直しでえある。
現在のガイドラインは北朝鮮のミサイル騒動が起きた1997年に、朝鮮有事を想定して作られたものであり、目下の課題である、中国の軍事的圧力に対し、日米共同で如何に戦うのかを実体的に定めることが必要になっている。
アメリカは今年の初めアジア太平洋重視の新戦略を発表し、わが国はもとより韓国・オーストラリアを始め東南アジア諸国との連携を強化し中国の軍事的進出を押さえ込む体制を造りはじめた。
だが、アメリカも財政事情が悪化しているため、アジア太平洋を重視したからといって、単純に軍事態勢を強化するわけにも行かない。そこで、同盟諸国・友好諸国の防衛機能を強化し、連携体制を重視した体制をとろうとしている。
時期を限って米海兵隊などを同盟国等の基地に展開し、共同訓練を充実することや、有事のアクセスを強化する施策を準備するなど、相当に新たな方式が考えられている。
日米両国がお互いの役割をしっかり定め、それに従ってそれぞれの国内法を整備し、軍備を充実強化する等、実体的な防衛体制を整備することが肝要になっている。
TPPの検討もそのような視点から行われるべきだろう。
新内閣には、「日米共同防衛体制を実体的に深化させる」ことを期待したい。(松島悠佐)