海上自衛隊の新しい艦種名称について

満載排水量19,000トンの「ひゅうが」「いせ」同じく26,000トン「いずも」「かが」の艦種はヘリコプター搭載護衛艦、艦種記号はDDHである。
その名称について、以前この欄にも書いたが(H25.8.23「航空母艦」)艦種名としてちょっと無理があるのではないかと思っている。海外では軽空母などの分類がされているようであるし、マスコミ等でも事実上「空母」保有ではないかと報じられている。
海上自衛隊が、このような名称としているのは、「空母」という名称が“攻撃型”につながるという配慮からではないかと思われる。確かに「ひゅうが」就役当初は、搭載する航空機はヘリコプターであった。しかしV-22オスプレイの登場によりヘリコプターとも飛行機とも言い難い航空機の運用も必要となり、さらにまぎれもない飛行機であるF-35Bを搭載、運用することになれば、最早ヘリコプター搭載艦という名称は適切ではなくなってきている。
そこで独自に艦種名について提案してみたい。艦種は「航空支援母艦」、艦種記号は「DDA」または「DDSA」ないし「DDAS」である。
各国の航空母艦は航空優勢の獲得(制空)、航空攻撃(対地・対艦攻撃)を行うことを主たる目的とする。これと違って、海上自衛隊の「いずも」等の護衛艦は対潜水艦戦を主としてその他の任務を遂行するためにヘリコプター、オスプレイ、F-35B(V/STOR機)などを搭載、運用する。これら航空支援(Air Support)のための基盤となる護衛艦が「いずも」等である。したがって「航空支援」という名称を冠してその「母艦」とすることが適切であると考える。
「航空支援母艦」なんとなく防御的で主力艦というイメージがない適切なネーミングであると自画自賛する。名称がどうであろうと、どのような運用を行うかは海上自衛隊の裁量によるのは言うまでもない。(島本順光)