金環食

平成24年5月21日午前7時前後、我が国は「金環食」に沸いた。
東京でも、雲の間に、あるいは薄雲を通して「金環食」が見えた。
わずか数十分であるが、NHKはじめ主要テレビ局もトップニュースで報じている。
わずか数十分であるから、我が国の国民は大きく反応するのであろうか。
東シナ海の尖閣諸島周辺、日中中間線付近のガス田開発、わが国の領土内で進む用地買収や、企業買収。それらは雲間に見えた「日食(日蝕)」である。見えないところでは、どのような日蝕が進んでいるのかさえ分からない。
しかし、この「日蝕」は、部分的にしか見えていないにせよ、長い年月をかけて確実に進んでいるということは明白である。
巨大な経済規模と人口、そして軍事力をもつ隣国「中国」、長期戦略に基づくその弛み無い「日蝕」に我が国国民全体が気付き、対応を図るべきである。
台湾の馬 英九総統は昨20日の記者会見で、経済的関係については、より中国との関係を強めるが、政治的には慎重に一線を画する旨の発言をしている。
我が国も経済的には中国とすでに深い関係にある。しかしこれは相互に必要とする関係であり、中国にとっても我が国は最重要国の一つである。ただ、「市場」として中国を考えている国とは違った関係にあると考えられる。
しかしながら一方で中国は言うまでもなく「共産党一党独裁政権」が運営する国家である。我が国とは国家体制を全く異にする国家である。したがって、政治的な関係では明確な一線を認識し、政治、軍事などについては警戒心を持って接すべき国家である。
そうでなければ、わずか数十分で終わる「金環食」ではなく、長期(永久)に及ぶ「部分日蝕」から「皆既日蝕」になってしまうであろう。いや、もうすでに「部分日蝕」は進んでいるのであるから。
(尖閣諸島周辺の事情については当研究所発行の「尖閣諸島が危ない」を、ぜひご覧いただきたい。)(島本順光)