シビリアンコントロールを誤解するな!
「シビリアンコントロールを誤解するな!」
国会で稲田防衛大臣が集中砲火を浴びている。
森友学園の事や南スーダンのPKOの問題など、個々のことはわからないから意見を言うこともできないが、南スーダンの問題を採り上げて、野党の議員が「大臣として自衛隊の行動をよく把握していないのはシビリアンコントロールが機能していないのではないか」と質問しているのを聞いて、シビリアンコントロールがよく理解されていないのではないかと感じている。
軍事の問題、特に武力の行使は専門的な知識と技術が必要なので軍人の専管事項になることが多いが、それを発動するか否かの問題は極めて重大な国家の判断であり、政治がそれを決めるのがシビリアンコントロールの原則である。
今回の問題は、南スーダンで起きている部族相互の戦闘状態はPKO派遣の原則に照らして平穏が維持されている状態なのか、派遣を合法と考え継続するのか、それとも原則に合わなくなったので撤収をすべきなのかという問題だった。現地の日報はその状況を正しく伝えていたと思うが、それを知った政治家がどう判断したのかが問題であり、問われるのは大臣の判断力だろう。
現地の日報を大臣に報告しなかったとか、隠したとかが問題になっているが、私の拙い経験からすればそのようなことはないと思う。政治家として「今はこの問題は出さないほうがよい」と判断することはあるだろう。それは政治判断であり、あながち悪いとも言えない。
野党として正すべきは大臣としての政治家の判断力であり、その資質である。少なくともシビリアンコントロールの問題ではないだろう。
自衛隊は頑なにシビリアンコントロールを守っているし、不平があっても耐えながら任務についている。
シビリアンコントロールが機能していないなどという質問は見当違いもはなはだしい。(松島悠佐、2017.3.17)