威嚇作戦の効用(続き)

「威嚇作戦の効用(続き)」

先日「威嚇作戦の効用」で、アメリカも北朝鮮も威嚇作戦をしているので当面衝突の危険は無いだろうと書いた。これで安心してもらっては困る。両国の怨念は変わらないので、一寸間違うとチャンバラが始まる危険性はあるのだ。
一部のメディアによっては、さも直ぐに戦争になるような煽りの記事が見えるので、そのような兆候は無いだろうと判断し、動物の世界でも威嚇は争いを避けようとする合図だと書いた。
自然界の動物の世界でも本気で獲物を襲う時には、身を隠して足音を忍ばせながら近づいて不意に襲い掛かる。
アメリカが本当に攻撃する時には原潜や空母の居場所など公表しないだろう。原潜はもともと自分の位置を秘匿し、相手が油断している時に不意に襲い掛かるために開発した兵器だ。
アメリカの威嚇作戦の矛先は北朝鮮だけではなく韓国にも向けられている。空母や原潜が韓国に近づき、さらに日本の艦艇・航空機との協同している姿を公表するのは、韓国の安全はこのような米軍の力によって守られていることを韓国国民に知らせていると思う。
5月の終わりには大統領選挙がある。韓国の安全保障を担っているアメリカの姿を選挙民に見せ付け『韓国の安全保障を真剣に考えろ』と伝えているのだろう。
アメリカが本当に心配しているのは韓国の左傾化である。
THAADミサイルの配備を急いだのも、新大統領になって配備に手間取るようなことにならないようにしたのだろう。
韓国の左傾化がひどく進むようだったらアメリカは南北両方に新たな手を打つかもしれない。どのような手を打つのか解らないが、これが危険を伴うものになるかもしれない。
そうならないように中国とも連携を図るのだろうが、このような裏街道のことは知る由も無い。
わが国として大事なことは、この間にチャンバラに備える施策を進めることである。(松島悠佐、2017.4.30)