尖閣諸島への中国活動家の上陸
8月15日、香港の活動家が尖閣諸島に上陸した。我が国の領土を侵害する違法な行動であり、上陸を阻止するためにもっと毅然とした対応をすべきだったと思うが、手荒な対応は控えろという政府の方針で致し方なかったようである。
注意しなければならないことは、これは単なる民間活動家の行動ではないことである。中国のような活動・報道に対する統制の厳しい国では、この種の行動を事前に止める事は簡単である。
今中国国内では政府の政策に反対するデモが1日100件近く起きていると言われているが、これらは直ぐに弾圧されほとんど報道もされない。
尖閣諸島上陸の行動が計画通り進められた事は、政府の意向に従ってやっているか、あるいは少なくとも政府の意向に反していないものと見るべきである。
この種の事件を利用して中国は尖閣諸島が自国の領土であることを公式に発信し、国際的な認識を高めることに利用する。
尖閣諸島周辺での海洋調査や漁業活動を頻繁に行い、何か日本との間にトラブルがあれば声高に「自国領である」ことを主張し、トラブルが起きなければ行動をエスカレートさせるのが常套手段であり、南シナ海の南沙・西沙諸島などで長期にわたり繰り返してきた行動である。
尖閣諸島占領に向けて中国が合法的と考えている新たな作戦の段階に踏み込んできたと見ておくべきであり、放っておくとどんどんエスカレートしてくるだろう。
これに対抗するわが国の行動としては、国土交通大臣と防衛大臣が速やかに尖閣諸島に上陸して、領土領海の安全と防衛を全うする事の重要性を国内外に認識させることであろう。それがわが国としての毅然とした対応ではないだろうか。(松島悠佐)