尖閣諸島買取をアメリカで表明した石原都知事の快挙
4月17日、石原都知事が尖閣諸島を東京都で買取る計画があるとアメリカで表明した。
これには二つの意味があると思う。
一つは、中国が尖閣諸島の占拠支配に動き出していることに対する警告である。
3月に防衛システム研究所HPに掲載した「沖縄を再び戦場にしないために」という拙論にも書いたが、中国はいよいよ満を持して、尖閣諸島に手を出してくる気配が強くなっており、わが国としては今のように無人のまま放置してはならず、はっきりと相手に見えるように日本の実行支配を示さなければならない。
一番望ましいのは、自衛隊や海上保安庁の警備部隊が常駐することだが、急にそうすることに内外の抵抗があると考えるのなら、民間の企業の施設や観光施設を常駐させたり、あるいは諸島周辺での海洋調査を頻繁に行い、天然ガス田の試掘・採掘を進め、尖閣諸島を給油基地、補給整備基地として活用することなどが考えられる。
いずれも国として手を打たなければならないことだが、中国に遠慮して政府は腰砕けの状態である。それを見かねて「尖閣諸島は東京都が守る」と発言し、国の無策をたしなめたところに大きな意味がある。
これを機に、国内で尖閣諸島領有の議論が起きれば、そのこと自体が実行支配に直接つながることにもなる。
二つ目の意味は、アメリカの有識者を前に発言したことである。
このことを国内で発表してもNHKはじめ中国よりのメディアは、中国を刺激するという配慮から多分取り上げないし報道もしなかっただろう。それが今までの傾向であり、尖閣諸島にこれ程中国が違法な圧力をかけているのに、時々断片的な報道を流してお茶を濁す程度ですましている。
国益を考える本来の日本のメディアなら、中国のやっている事は国際法違反であり、これを断固として排除しなければ第2の竹島になるとの警告を発する報道を行なってしかるべきだろう。
「石原都知事があらぬ事口走った」として、トンチンカンな評論をしてお終いにされては困ると思って、アメリカのヘリテージ財団で発表したのだろうと推測する。わが国のメディアも少し目を覚ました方がよいと思う。
この二つの意味からまさしく快挙である。(防衛システム研究所代表・松島悠佐)