「集団的自衛権」についての国会議論
現在、衆議院、参議院の予算委員会で、政府の示した「集団的自衛権」に関する討議が行われている。
議論を聞いていて、基本的な点で、大いにおかしいと感ずる部分がある。
「集団的自衛権」については、昭和47年の内閣法制局の見解でも、「保有はしている。」となっている。今回の閣議決定は、あくまでも、「自衛権の行使」についてであるので、すべての項目について、「自衛」という前提があるのである。
しかしながら、「自衛」を「武力行使」と同一に論じている点である。なるほど、自衛のための武力行使ではあるが、あくまで「自衛」の枠内なのである。
米国が米国の国益に基づき、我が国に関係なく行動する場合に、我が国が「集団的自衛権の行使」を発動することはないのは明白である。
政府の答弁は、いわゆる「三要件」から行っている。その前に「自衛権」の範囲であるというのにその点を示さないので国民に分かりにくくなっているのではなかろうか。
もう一点、掃海についての議論も、軍事常識から、答弁がもどかしいと感じる。
掃海の対象である「機雷」は、地上でいう「地雷」である。どこにあるかもわからず、だれが施設したかもわからず、近辺を通過する艦船に反応して、これを破壊する武器である。
艦種を特定する高級なものもあるが、通常は民間船でも、軍艦でも区別なく破壊する。
この様な「機雷」を排除するのが、なぜ問題となるのか。これは一例であるが、軍事的常識からすると、非常に奇異な議論が散見される。
結果的に、「何ができるかを明確にせよ」という議論になるように思われる。いつも主張しているように、国際的基準による「ネガティブリスト」(やってはいけないことを示す)を適用できるよう法整備が進むことを願う次第である。(島本順光)