日米同盟における東・南シナ海問題の重要性

12月6日、日本戦略研究フォーラム(会長:中條高徳氏)が主催した「日米同盟における東・南シナ海問題の重要性」のシンポジウムが開かれ、拝聴させてもらった。
導入報告では、「東シナ海と南シナ海における1年間の変容」と題して小谷哲男氏(日本国際問題研究所研究員)がクロノロジーを報告し、ついで桜井よしこ氏による基調報告「より良い日米同盟のために―中国の脅威を見極めよ-」が行われた。
引き続いて次の6氏からそれぞれのテーマについて報告がありオープンディスカッションに移った。

  • ジェームス・クラスカ氏(米海軍大学教授)
    「中国の海洋権益主張の法的問題」
  • 川村純彦氏(JFSS海洋安全保障研究会代表・元海自将官)
    「現代中国の海軍力」
  • エドアルド・サントス氏(フィリピン海事アカデミー校長)
    「スカボロー礁を巡る中比対立」
  • グエン・フン・ソン氏(ベトナム外交学院副院長)
    南シナ海情勢 -ベトナムの視点-」
  • グラント・ニューシャム氏(米海兵隊大佐)
    「統合および共同海洋作戦についての一考察」
  • 金田秀昭氏(JFSS政策提言委員・元海自将官)
    「南西諸島防衛についての日本の考え方」

司会はジェームス・アワー氏(バンダービルト大学教授)が勤められ約4時間にわたり熱心な討議が行われた。
討議内容は後日「日本戦略研究フォーラム」から発表されるので、許可を得て転載させていただこうと思っているが、概要については、東シナ海・南シナ海のシーレーンの安全確保が重要であり、わが国はもっと真剣に対応を考えなければならないというものであり、非常に具体的な内容で示唆に富むものだった。
特に、ベトナム・フィリピンから招いたパネラーが、現実に東・南シナ海で起こっている中国の横暴な行動を具体的に提示し、注意を喚起していたことが印象に残った。
わが国としては政治的な判断と施策がともなうことであり、是非政治家に聞いて欲しい内容だったが、選挙のためか政治家の参加は皆無で残念だった。(松島悠佐)