防衛大臣の機能不全を改めよ
防衛大臣が参議院での問責決議を受け、大臣として機能できない状態になっている。6月2・3日にシンガポールで開かれるアジア安全保障会議にも、野党の反対もあり出席を見合わせるとのことである。
この会合には、アジア太平洋諸国を中心に30カ国の国防大臣が出席し、同時に関係諸国との2国間協議が行われる場でもある。
現在のわが国の安全保障環境は、北朝鮮の核・ミサイル開発への対応、中国の戦力増強への対応、さらに米軍再編に伴う沖縄海兵隊の移転問題など多くの問題を抱えており、会議に参加する意味は大きい。
このような時期に防衛大臣が機能を発揮できないのは由々しき事であり、民主党が笑われるだけではなく、国が笑われる結果になることを考えておかなければならない。
田中防衛大臣は、「防衛省としての業務が停滞しているということは一切ございません」と言っているが、相当に停滞していると認識しなければならないだろう。
他方、防衛大臣は防衛行政を司る閣僚であると同時に、「陸海空の三自衛隊の指揮官」としての任務をもっている。
総理大臣の命を受け、自衛隊を直接指揮する指揮官としての任務である。
その下で、自衛隊員は日夜黙々と自らの職責を果たすために訓練している。勿論、防衛出動や治安出動、災害出動などに備えるためであり、政治情勢がいかに混迷しようとも、そのことは変わらない。
防衛大臣がその機能を十分に発揮できないという事は、25万の隊員の士気に大きな影響を及ぼしている。
指揮官として防衛大臣の職責をしっかりと認識し、機能不全な状態を速やかに改善しなければならない。それは防衛大臣の努力と同時に総理大臣の努めでもある。
民主党内のゴタゴタに乾坤一擲の思いで臨む前に、処置すべき事ではないのか。(松島悠佐)