FX(F-35A)の6月契約に関して
昨日(5月10日)、防衛省が次期戦闘機FXとして昨年末に選定した米国製F-35Aを取得するための契約を、この6月に実施する旨の報道があった。
このHPの論文欄に詳しく述べているが、F-35Aは現状で既に一機120億円(記事では42機購入で一機あたり190億円と計算)を上回ることが確実である。にもかかわらず、24年度予算で認められた一機あたり89億円での取得を目指しているとのことである。
さらに、開発と並行して生産をしているため、2016年度に取得予定の4機は、開発完了していない。言い換えれば運用するためには改修が必要な機体である事がほぼ確実である。しかも、この改修は、我が国で実施できない公算が高く、米国へ搬送しなければならない事態が予想される。その場合の改修費用などを考えれば、天井知らずの値段になってしまいかねない。さらに、このようなことから必要とする年度には間に合わないのは必定である。
しかも、この契約はFMS(有償軍事援助)契約であるので、我が国は米国の内容(価格、納期等)変更などに対抗できない。
F-35Aは第5世代の戦闘機で、先進技術を駆使したすばらしい機体である。計画がスムースに進めば我が国の航空防衛力は向上するし、米国との関係も良好な方向に向かうであろう。
しかし、現状を見る限り、決して計画通りに進むとは思えない。価格も大幅に上回ることがほぼ確実である。また、重要な要素である我が国の防衛産業への寄与が非常に少ない。
解決策として、論文に示したように、米国が約束を守れない場合の予備として、同じくFX候補だった、F/A-18Eを購入することを米国に認めさせ、防空網に穴が開かない方策を講じるべきである。(島本順光)