防衛大臣のあり方
内閣改造で防衛大臣に民間からの起用が決ってから、防衛大臣のあり方についていろいろな意見が出ている。結論から言えば、防衛大臣は国会議員の中から選ぶべきだろう。
内閣は行政権執行の最高機関であり、その執行につき国会に対し連帯責任を負うことになっている(憲法65・66条)。民主政治では自分の代わりにそれを執行してくれる人を選挙で選ぶことになっており、それが国会議員である。
大臣に民間人を起用する事を否定してはいないが、過半数は国会議員から選べと釘をさしているのはそのためである(憲法68条)。特に外国との関係が深い外務・防衛・財務など国政の重要な行政執行は、国民から権限を託された国会議員が行なうべきだろう。
大臣には、国政行政を担う見識と行政力・判断力・実行力が求められており、特に、防衛大臣には防衛行政を司る閣僚であると同時に、「陸海空の三自衛隊の指揮官」としての任務がある。
田中前防衛大臣はじめ、何代かの防衛大臣の罷免が続いたのは、自衛隊を直接指揮する指揮官としての見識と判断力・実行力が欠けていたからである。今回の森本大臣の起用はそれを補うものにはならないだろう。
学識経験者の意見を徴用するためには、大臣の諮問機関として有識者会議を設けたり、大臣補佐官として有識者を起用する方法などいろいろあって、これまでも実行されてきた。学者に意見を参考にしたければ方法はいくらでもある。
繰り返して言うが、防衛大臣に求められているのは「国政行政を担う見識と行政力・判断力・実行力、ならびに三自衛隊の指揮官としての指揮統率力」である。
全部を備えた人物を選ぶのも難しいが、一番必要な資質は「責任感と実践・実行力」だろう。
残念ながら、森本新大臣には、そのどれもが欠落しているように思える。(松島悠佐)