新内閣への期待
野田内閣が解散し総選挙となった。
私は当然のことだと思うのだが、『俺の選挙はどうなるのだ』と考える民主党の議員は慌てたのだろう。
だが、尖閣諸島や竹島の問題、沖縄での普天間やオスプレイ配備、北朝鮮の拉致問題など、やらなければならないことが沢山あるのに、何にもしない内閣は存在しても意味が無いと思っていたので、解散は当然のことである。
国家・国益を考えて、不人気なことや耳障りの悪いことでも、あえて実行するのが政治家の信条だと思うからである。
次の政権に就く人には、憲法を見直して国家戦略・国家運営の基本を定めてほしいと思う。その第1が、国家防衛に関する基本的な事項を、抜本的に改革してもらうことである。
自衛隊が出来てから60年近くになるが、こと防衛問題に関しては、とにかく基本問題には触れず、とりあえず出来ることだけをやって、事態に何とか対応し、辻褄を合わせながらくぐり抜けてきたのが実態だからである。
選挙の結果を勝手に予測するわけにも行かないが、自民党の安倍さんならかつて総理として,集団的自衛権の解釈や国家安全保障会議の制定などに取り組む姿勢を明確にしていたことから、その理念と実績に期待したい。
石原氏・平沼氏の新党にも、これまで政治家として行ってきた国家観ある実績に期待したい。
憲法を改正し、国家防衛の基本を正すことは、簡単には実現出きるものではない。この半世紀の議論を見てくれば、正に色々な視点から、色々な意見があり、改革の道は平坦ではない。
安倍自民党総裁が5年ほど前に『美しい国へ』という本を出した。「闘う政治家」でなければ、抜本的な改革は不可能だが、残念ながら「闘う政治家」は少なく、多数を占める「闘わない政治家」たちが、批判を避けて中庸の案で納めようと働きかけ、これが、憲法改正をはじめとする本質的な改革の実現を阻んでいると書いている。
今回はこうならないように、「闘わない政治家」にはお引取り願いたいものである。
抜本的な改革の実現に向けて、「闘う政治家」を増やし、「闘わない政治家」を減ずるのは、しかしわれわれ有権者の責任でもある。(松島悠佐、2012.11.26)