北方領土問題
ロシアのメドベージェフ首相が昨3日国後島を訪問し、「ここはロシアの領土であり、日本に返すことなどない」と言っている。
彼は以前大統領の時にも北方四島を訪問して、同じようなことをしている。
これはソ連の時代から続く彼の国の基本的態度であり変わっていない。
これに対してわが国の態度は、「何か譲歩すれば返還につながるのではないか」と淡い期待を持って接している。
5月末に、韓国企業が択捉島で港湾事業開始するとの報道があった際にもブログに書いたのだが、ロシアとの交渉においては、力を背景にしなければ何も進展しない。
先月も、野田総理がプーチン大統領と会談し、お互いの懸案事項を前向きに解決したいと握手を交わしているが、それは握手だけであって何の効果ももたらさない。
ロシアと真面目に交渉する気なら、力を背景にして長期的にかつ一貫した姿勢を貫く事が必要である。(幣研究所発刊の「極東ロシアの軋轢」参照)
ロシアに限らず、国際社会での交渉は皆同様であり、話し合いをいかに重ねても、約束を強制出来る力がなければ何の意味も成さない。
シリアの事態改善も同様であり、今わが国の懸案になっている沖縄の問題も然りである。
平和ボケと言われるわが国では、「盟約は剣なくして何の意味もない」と言ったトーマス・カーライ(Thomas Carlyle,1795~1881、英歴史学者)の言葉を、事あるごとにかみ締めなければならないだろう。(松島悠佐)